ITサービスレコーダー

情報システム部門の煩わしい業務を効率化
ITサービスの運用を変革します。[お問合せ]

[1] 遅延と体感
[2] 実験構成 及び 実験内容
[3] マシンスペック 等
[4] 測定結果 及び 分かったこと 小容量ファイルの場合
[5] 測定結果 及び 分かったこと 大容量ファイルの場合
[6] 結論(まとめ)

1.遅延と体感   テストトライアルにJump new

 色々な原因で遅延が発生しますが、遅延が発生するとアプリケーションを利用しているお客さまは、ストレスを感じます。
 NW遅延がどの程度、アプリケーションのレスポンスに影響するか実験を行いました。





2.実験構成 及び 実験内容

 図に示す通り、3台のマシンを利用して実験を行いました。
 NWに相当するマシンで、強制的に遅延を発生させ、大きさの違うファイルをダウンロードし、遅延とダウンロード時間との関係を調べました。

 遅延は、
0ms(遅延なし)、5ms、10ms、20ms、30ms、40ms、50ms、100ms、200ms、500ms、1,000ms、2,000ms
としました。

 ダウンロードするファイルの容量(バイト)は、
100k、250k、500k、1M、2M、3M、5M、10M、30M、50M、100M、200M、300M
としました。

【実験内容】
  ダウンロードのプロトコルは、http を利用して、ダウンロードにかかった時間を測定しました。

ダウンロードの間隔は、10秒とし、各項目で、10回の試験を行いました。
遅延と体感 その1

【ネットワークアドレス】
遅延と体感 その18

【遅延発生コマンド(CentOS)】

# tc qdisc add dev eth0 root netem delay 1000ms 遅延の設定

# tc qdisc del dev eth0 root netem delay 1000ms 遅延の解除





3.マシンスペック 等

〇クライアント
Intel(R)Core?2 Duo CPU L7300 @ 1.40Ghz 
cpu 800MHz Memory 2G Nic 1000M

 OS: CentOS release 6.6 (Final)  アーキテクチャ:i686

〇疑似NW
Intel(R)Core?2 Duo CPU 6600 @ 2.40Ghz 
cpu 1600MHz Memory 2G
Nic eth0=100M, eth2=1000M

 OS: CentOS release 6.6 (Final)  アーキテクチャ:i686

〇WWW Server
Intel(R)Core?2 Duo CPU T5500 @ 1.66Ghz 
cpu 1000MHz Memory 2G Nic 1000M

 OS: CentOS release 6.6 (Final)  アーキテクチャ:i686

 Nicカードのインタフェースの1つが、100Mbpsでしたので、
 システム全体の最大スループットは、100Mbps 
となります。




4.測定結果 及び 分かったこと 小容量ファイルの場合

 測定結果を示します。
表−1は、ファイル容量が小さい場合、
表−2は、ファイル容量が大きい場合
を示します。
遅延と体感 その2
表−1 遅延とダウンロードスピードの関係 値(Mbps) 小さいファイル

遅延と体感 その3
グラフ−1 遅延の値を変化させた場合のダウンロードスピード値(Mbps) 小さいファイル

【分かったこと】
① 遅延値が増すごとに、ダウンロードスピードが遅くなる。
② ダウンロードファイルが小さい程、ダウンロードスピードの遅くなるが激しい。

 ファイル容量が小さい場合に影響が出ることが分かりましたので、ファイル容量が小さく、遅延量も小さい場合にフォーカスをして見ます。
遅延と体感 その4
遅延と体感 その5
遅延と体感 その6
グラフ−2 ファイル容量の値を変化させた場合のダウンロードスピード値(Mbps) 

【分かったこと】
① 容量の小さいファイル程、僅かな遅延値にも影響される。
② 100kbyteのファイルでは、5msの遅延でも、急激にダウンロードスピードが低下する。




5.測定結果 及び 分かったこと 大容量ファイルの場合

【分かったこと】
 ファイル容量が大きい場合には、次の点が分かった。
・遅延値が大きくなるほど、ダウンロードスピード値が落ちる。
 実験前から推定できる内容です。

・5Mbyte以上になると、大きなグラフの変化は見られない。
 同じような線の感じとなります。
遅延と体感 その7
表−2 遅延とダウンロードスピードの関係 値(Mbps) 大きいファイル

遅延と体感 その8
グラフ−3 遅延の値を変化させた場合のダウンロードスピード値(Mbps)

遅延と体感 その9
グラフ−4 ファイル容量を変化させた場合のダウンロードスピード値(Mbps)




6.結論(まとめ)

グラフー2を再度示します。小容量のファイルのダウンロード試験のグラフです。
遅延と体感 その6
グラフ−2 ファイル容量の値を変化させた場合のダウンロードスピード値(Mbps)

遅延と体感 その10
表−1(抜粋)遅延とダウンロードスピードの関係 値(Mbps) 小さいファイル
 
 ファイル容量が小さい時は、特に遅延値に影響されることがわかります。
 わずか1ファイルのダウンロードの実験ですが、少容量ファイルでは、少ない遅延でも影響が大きいことが分かりました。
 小容量のファイルでは、オーバヘッドが効いてくることも考慮すべきですが、(表ー1を参照)
◇100kbyteのファイルのダウンロードスピードは、
  遅延なし  : 43.38Mbps
  5msの遅延: 20.02Mbps
◇250kbyteのファイルのダウンロードスピードは、
  遅延なし  : 65.37Mbps
  5msの遅延: 35.56Mbps
と、わずか5msの遅延で、激しいスピードの劣化がありました。

 実際のWebサイトには、多くのファイルが存在しますので、遅延の影響はわずかな遅延でも大きく影響されると推測されます。
 システム設計では、できるだけ遅延が発生しない構成とすることが重要です。
 今回は、擬似NWにて遅延を発生させましたが、FW等のゲートウェイで必ずその機器を通る機器において処理が遅く遅延が発生する場合も同様の課題が生じます。

ページのトップへ戻る