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ベストエフォート回線の方がギャランティ回線より、料金が安くなっておりますので、ベストエフォート回線で良ければ、この回線を利用したいところです。
しかしながら、お客様のトラフィック状況や、他のお客様の影響を考慮しないと、「業務で利用するアプリケーションが利用できない(使いにくい)」の苦情に繋がります。
本ページでは、ギャランティ回線とベストエフォート回線の遅延・timeoutの違い について説明します。
1.遅延の要因
業務アプリを利用して、レスポンスが遅くなると、回線の帯域不足 と考えがちです。
しかしながら、実際の遅延の原因を調べて見ると、「回線の帯域不足」以外の理由があります。
「お客様が遅延と感じる 原因の発見例」Map
← 図をクリックすると 別タグが開きます。
↑ このページに示す通り、遅延の原因は、「回線の帯域不足」以外でも
・FW、Proxy、Routerに起因すること
・DNSに起因すること
・他の機器に起因すること
があります。
遅延が発生した時に、まずは、帯域不足以外の要因でないかの確認が必要です。
弊社では、「問題解決事例集」に記述しておりますが、多くの事象を発見しております。
2.遅延とtimeout
次に示しますのは、あるお客様の11/4(木)15時台 と 12/9(木)10時台のEECのデータです。
【グラフの見方】
EECは、遅延の状況を、
■ 青色:普通
■ 緑色:少し遅い
■ 紫色:遅い
■ 赤色:timeout で表しております。
試験結果を、100%で割合を示しています。
上のグラフの 15:25 頃は、殆ど(ほぼ、100%) 紫色の遅いの状況となっています。
上の2つのグラフを見ると、
上のグラフは、遅延が多くなっており、
下のグラフは、timeout が目立ちます。
この2つの時間帯の試験結果の分布を以下に示します。
11/4は、遅延は起きていますが、timeoutは少なくなっています。
1 回 : 507 ms
1 回 : 558 ms
1 回 : 568 ms
1 回 : 670 ms
1 回 : 684 ms
1 回 : 689 ms
1 回 : 783 ms
1 回 : 977 ms と 500 ms 以上の応答も多くなっています。
11/4は、大幅な帯域オーバーにはなっていなかったが、突発的なトラフィックで遅延が発生したと考えられます。
12/9 は、遅延の割合は少なく、timeoutが多いため、帯域オーバーでパケットの廃棄が発生したと考えられます。
1 回 : 65 ms
1 回 : 120 ms ⇒ Max 120.977ms となっています。
ブチィ と切断されたイメージです。
このようにEECの結果から、(単なる、ping試験ですが) 状態を推測することが可能です。
3.ギャランティ回線の帯域逼迫、帯域不足の状況
ギャランティ回線の場合、お客様のトラフィック状況を踏まえ帯域を選択すれば、timeout の発生は少なくなります。
以下のグラフは、ギャランティ回線を利用されているお客様の 2022.6.6(月) のデータです。
8時台で遅延が多くなっています。
以下は、8時代の試験結果の分布です。
と 試験自体のtimeout の1秒近くまでの試験結果(遅延)が多くなっています。
2 回 : 12 ms
1 回 : 15 ms
1 回 : 24 ms
1 回 : 28 ms
1 回 : 29 ms
1 回 : 42 ms
1 回 : 45 ms
1 回 : 49 ms
1 回 : 51 ms
1 回 : 71 ms
1 回 : 74 ms
2 回 : 77 ms
1 回 : 79 ms
2 回 : 92 ms
1 回 : 100 ms
1 回 : 101 ms
1 回 : 111 ms
1 回 : 121 ms
1 回 : 122 ms
2 回 : 137 ms
1 回 : 142 ms
1 回 : 149 ms
1 回 : 152 ms
1 回 : 154 ms
2 回 : 159 ms
1 回 : 173 ms
1 回 : 174 ms
1 回 : 179 ms
1 回 : 180 ms
1 回 : 194 ms
2 回 : 204 ms
1 回 : 213 ms
1 回 : 226 ms
1 回 : 234 ms
1 回 : 243 ms
1 回 : 250 ms
1 回 : 252 ms
1 回 : 256 ms
1 回 : 259 ms
1 回 : 275 ms
1 回 : 277 ms
1 回 : 279 ms
1 回 : 294 ms
1 回 : 296 ms
1 回 : 299 ms
1 回 : 302 ms
1 回 : 321 ms
1 回 : 325 ms
1 回 : 327 ms
1 回 : 340 ms
1 回 : 352 ms
1 回 : 365 ms
1 回 : 369 ms
1 回 : 383 ms
1 回 : 385 ms
1 回 : 469 ms
1 回 : 512 ms
1 回 : 575 ms
1 回 : 580 ms
1 回 : 599 ms
1 回 : 616 ms
1 回 : 674 ms
1 回 : 878 ms
1 回 : 983 ms
1 回 : timeout
この時間帯のtimeout は 1回のみでした。
この時間帯は、ギリギリで帯域までトラフィックがあったことが分かります。
以下のグラフは、同じお客様の 2022.6.15(月) のデータです。遅延が分かるグラフと試験状況の表
9時台は、timeout が多くなっています。
下は、9時台に試験を行った 71回の生データです。
9時台の前半は、timeout が多くなっています。また、後半も、500ms を超える場合が多くなっています。
平均値が661msと、通常よりかなり遅くなっています。
この時間帯は、帯域不足であり、業務に相当の影響があったと推測されます。
ギャランティ回線であっても、適切な帯域を契約しないと業務に支障になることが分かります。
4.ベストエフォート回線の遅延・timeoutの状況
以下のグラフは、ベストエフォート回線を利用されているお客様の 2022.6.20(月) 8時台のデータです。
試験結果の分布を以下に示します。
3 回 : 26 ms
290 回 : 27 ms
194 回 : 28 ms
124 回 : 29 ms
105 回 : 30 ms
89 回 : 31 ms
67 回 : 32 ms
63 回 : 33 ms
50 回 : 34 ms
50 回 : 35 ms
52 回 : 36 ms
47 回 : 37 ms
38 回 : 38 ms
58 回 : 39 ms
37 回 : 40 ms
44 回 : 41 ms
49 回 : 42 ms
62 回 : 43 ms
56 回 : 44 ms
57 回 : 45 ms
46 回 : 46 ms
48 回 : 47 ms
48 回 : 48 ms
46 回 : 49 ms
53 回 : 50 ms
39 回 : 51 ms
39 回 : 52 ms
51 回 : 53 ms
39 回 : 54 ms
36 回 : 55 ms
43 回 : 56 ms
37 回 : 57 ms
40 回 : 58 ms
45 回 : 59 ms
49 回 : 60 ms
38 回 : 61 ms
29 回 : 62 ms
28 回 : 63 ms
38 回 : 64 ms
22 回 : 65 ms
24 回 : 66 ms
37 回 : 67 ms
25 回 : 68 ms
42 回 : 69 ms
26 回 : 70 ms
43 回 : 71 ms
30 回 : 72 ms
22 回 : 73 ms
34 回 : 74 ms
23 回 : 75 ms
34 回 : 76 ms
30 回 : 77 ms
29 回 : 78 ms
32 回 : 79 ms
30 回 : 80 ms
50 回 : 81 ms
34 回 : 82 ms
23 回 : 83 ms
40 回 : 84 ms
24 回 : 85 ms
25 回 : 86 ms
17 回 : 87 ms
18 回 : 88 ms
13 回 : 89 ms
18 回 : 90 ms
11 回 : 91 ms
15 回 : 92 ms
9 回 : 93 ms
8 回 : 94 ms
6 回 : 95 ms
8 回 : 96 ms
5 回 : 97 ms
8 回 : 98 ms
8 回 : 99 ms
7 回 : 100 ms
5 回 : 101 ms
1 回 : 102 ms
4 回 : 103 ms
2 回 : 104 ms
1 回 : 105 ms
5 回 : 106 ms
5 回 : 107 ms
1 回 : 108 ms
3 回 : 109 ms
2 回 : 111 ms
1 回 : 114 ms
2 回 : 115 ms
3 回 : 116 ms
2 回 : 117 ms
3 回 : 118 ms
1 回 : 119 ms
1 回 : 120 ms
1 回 : 121 ms
1 回 : 134 ms
108 回 : timeout
timeout が多くなっております。
試験結果の最大値は、134.866ms となっており、本ページで記述した「2.遅延とtimeout」の 2つ目のグラフ同様、
ブチィ と切断されたイメージです。
この時間帯のトラフィックを以下に示します。
200Mbpsを超える場合もあり、ベストエフォートサービスをうまく利用されていますが、8:30~8:35 はかなりの timeout 率であり、エンドユーザ様の不満の限界値ギリギリであることが推定されます。
5.まとめ
本ページでは、ギャランティ回線とベストエフォート回線の遅延・timeoutの違い について記載しました。
ベストエフォートは、保証はされませんが、かなりの帯域の通信が可能な場合があります。
うまく、利用することにより、コストパフォーマンスの良いITインフラとなります。
エンドユーザ様利用の変化、他のお客様の利用、社会状況の変化によってつ常にトラフィックの流れが変化します。
ギャランティ回線では、規定内のトラフィックであれば、一般的にレスポンスがベストエフォートより速いことから、安定したサービスの提供が可能です。
【ベストエフォート回線】
・かなりの帯域を利用できる場合がある。
・コストメリットがある。
・他のお客様の影響で、遅延だけではなく、timeout(パケット廃棄のためと推定されます)が発生することがあります。
パケット廃棄が発生すると TCP では、アプリレベルの再送動作となり、『遅い』印象をエンドユーザ様が持つことになります。
UDP では、その部分のパケットが送信されません。WEB会議はUDPを利用しておりますので、音声の途切れ等に繋がります。
【ギャランティ回線】
・規定内のトラフィックであれば、極めて安定したITインフラの利用が可能です。
・回線が逼迫してくると遅延に繋がり、それを超えると、ギャランティ回線でも、timeout になります。
必要なことは、ベストエフォート回線にしてもギャランティ回線にしても変化を常に把握をすることです。
EEC(End to End Checker)の利用により、鳥瞰図的なITインフラ全体の把握が可能となります。
エンドユーザ様の苦情(クレーム)の前に、ITインフラのサービス状況を把握することは、情報システム部門様におかれましてはとても重要なポイントです。
【参考】
WEB会議の音声の途切れの一要因