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コロナの影響で、WEB会議を利用されるお客様(企業)が増えてきました。
あるお客様では、「WEB会議の時に通話が途切れて困る」の課題がありました。
お客様は、WebEXを利用されており、「WebEXでは時々アプリのダウンロードがある」との情報から、通話の途切れはこれが原因であると考えられていました。
EEC(End to End Checker)を導入し、お客様の疑問を解決しました。
1.システム構成
システム構成です。
キャリアのFW(UTM)を経由して、WEB会議センターと接続されています。
【お客様の状況】
・何が原因で、WEB会議がうまくできないか分からない。現場からのクレームが多いので早急に原因を解明したい。
・WEB会議を頻繁に利用しているので、相当の情報量があると考えている。
Temas、Zoom、WebEXで情報量が違うと考えているので比較したい。
・回線の単なる増速は、根拠がないので、社内決済が通らない。
2.EEC(End to End Cecker)の導入と測定内容
お客様が急がれているとのことでしたので、EECの設置は、3営業日で完了をさせました。
EECでは、一旦設置すれば、その後の監視内容の追加、パケットキャプチャーの取得を全て遠隔で実施できるため、短納期を実現しております。
EECでは、次の内容のデータの入手を開始しました。
(1) 通常のEECの監視
各拠点へのRouterへのping 試験、InterNet上の機器へのping試験、https 試験
(2) 各拠点のトラフィックの入手
現地設置のRouterから、トラフィックデータが入手できない場合もあります。
その時は、Router配下のSwitchにて、snmpのデータ取得を許可にして貰うことによりトラフィックデータを入手しました。
(3) パケットキャプチャーの実施
お客様は、情報の中身(どのような情報が流れ、どの情報が帯域を使っているか等)を知りたい要望がありましたので、パケットキャプチャーを連続取得し、必要な時(遅延等生じた時)に、データをコピー(Snap Shot)をすることにより、知りたい時間のデータを取得することができました。
3.EECのデータから判明したこと
下のグラフは、ある日のWEB会議を利用している時間帯(15時台)のEECの結果です。
【グラフの見方】
EECは、遅延の状況を、
■ 青色:普通
■ 緑色:少し遅い
■ 紫色:遅い
■ 赤色:timeout で表しております。
試験結果を、100%で割合を示しています。
15:25~15:27 は、殆ど(ほぼ、100%) 紫色の遅いの状況となっています。
下のグラフは、パケットキャプチャーのデータです。(WireSharkのグラフ)
分析方法は割愛しますが、この遅延が生じていた時間帯で、一番パケットを利用している機器を抽出しました。
その機器は、Fileサーバーでした。
15:25~15:27 の状況にフォーカスしたグラフとなっています。
15:25~15:27 は、全パケットの内、ファイルサーバーが利用したパケットが殆どを占めています。
この時間帯でWEB会議を実施している場合には、遅延、音声の途切れが発生することが想定されます。
4.WebEX と Zoom の通信量の比較
お客様の方で、WebEX と Zoom を利用して、以下のような操作を実施して頂きました。
Webex(3名同時接続)17:50 ~ 18:09
17:51~ ビデオなし 3分
17:55~ ビデオあり 3分
17:59~ J-Stream動画 3分
18:03~ Hドライブ動画 5分(前半2分画面共有なし
後半3分画面共有あり
Zoom(3名同時接続) 18:11 ~ 18:33
18:12~ ビデオなし 3分
18:16~ ビデオあり 3分
18:22~ J-Stream動画 3分
18:27~ Hドライブ動画 5分(前半2分画面共有なし
後半3分画面共有あり)
この時間帯のパケットキャプチャーの分析結果を以下に示します。
WebEX 約 340Mbyte
Zoom 約 336Mbyte と 差はほとんどありませんでした。
5.Zoom を 多数で利用した場合のトラフィック量
あるお客様で多くの方が参加した場合のZoomの状況を調べて見ました。
(1)42名の参加の場合
ある日の 08:59:18 ~ 09:00:48 約 49秒のデータです。
データ量が多かったため、約 49秒で、200万パケットの量がありました。
どの端末も、均等に利用している状況となっています。
以下のグラフは、WireSharkを利用した、トラフィック量を表示しております。
42名全体で、発で 30Mbps 以上、着で 10Mbps程度のトラフィック量となっております。
(2)21名の参加の場合
ある日の 08:02:48 ~ 08:05:31 約 2分 43秒のデータです。
パケット量は、約約213万パケットでした。
この時間帯の例では、特定の機器の発IPのパケット量が多くなっています。
このIPの方が、動画等で、情報を発信されていたと推定できます。
以下のグラフは、WireSharkを利用した、トラフィック量を表示しております。
21名全体で、発で 通常は5Mbps程度、突発的に10Mbpsを超える場合があります。着は、1Mbps程度とそれ程多いトラフィック量となっておりません。
各WEB会議サービス提供者でも、帯域の効率的な利用を考慮されているせいか、大人数でもトラフィック量が抑えられていることが分かります。
6.まとめ
本ページでは、WEB会議の音声の途切れの一要因を説明しましたが、
ファイルサーバーの通信時には、かなりのパケットを占有し、リアルタイム系アプリのWEB会議では、影響があることが分かりました。
WEB会議の利用が今後増々増えてくると予想されますので、
・ファイルサーバーの設置場所
・バックアップ等、ファイルサーバーの時間帯の運用調整
は、気を付ける点になります。
また、WEB会議は、参加人数が増えても、極端に帯域を使用しませんので、しっかりと帯域の確保できるギャランティ回線の利用もWEB会議の安定提供の意味で有効な案と考えられます。
【参考】
ギャランティ回線とベストエフォート回線の遅延・timeoutの違い